競馬にはいろいろな馬券の種類があります。その中でも初心者の方におすすめなのが「ワイド馬券」です。ワイド馬券は比較的当てやすい馬券だけに、まだ予想に慣れていない方でも十分的中を狙える馬券になります。
まずはワイド馬券で予想の腕を磨き、ほかの馬券に挑戦する。それが競馬初心者にお勧めできる馬券術といっても過言ではないでしょう。
目次
「ワイド」とは馬券の一種である
日本の競馬界にはいろいろな馬券が存在します。1着になる馬を予想する単勝や、1着になる馬と2着になる馬を順不同で狙う馬連、さらに1~3着までを順番通りに予想する三連単などがその種類です。
ワイド馬券もこのような馬券の一種であり、比較的的中させやすい、予想しやすい馬券となります。まずはワイド馬券の特徴から細かく解説していきましょう。
ワイドの特徴
ワイド馬券最大の特徴は「当てやすいのに控除率が低い」ことでしょう。馬券には控除率、つまりJRAの取り分が定められており、この控除率は馬券の種類によって変わります。
ワイド馬券は控除率と配当倍率のバランスが良く、当てやすく儲けやすい馬券といわれています。そんなワイド馬券の特徴をいくつかご紹介していきましょう。
選んだ2頭が順不同で3着以内に入れば的中
まずはワイド馬券の的中条件です。ワイド馬券は購入時に2頭の馬を選び、その組み合わせで購入します。この選んだ2頭が、順不同でともに3着以内に入れば的中ということになります。
簡単な例を挙げましょう。あるレースで1着①番、2着②番、3着③番というレースがあったとします。このレースでのワイドの的中馬券は、①-②、①-③、②-③の3種類ということになります。
ワイド馬券は馬連馬券のワイド版です。馬連の場合、選んだ2頭が順不同でともに2着以内に入る必要があります。上の例でいえば馬連の的中馬券は①-②のみということになります。
馬連と同じ感覚で予想でき、馬連よりも3倍的中させやすいのがワイド馬券といってもいいでしょう。
控除率が低い
JRAの取り分である控除率。単勝や複勝は20%、WIN5は30%がJRAの取り分となります。つまり単勝馬券を1万円購入した時点で、JRAに2,000円が入り、WIN5を1万円購入すると3,000円が入ります。
残った分を的中した人が均等に分けて受け取るのが馬券です。つまり控除率が低いほど、賭けた人の取り分が多くなるということになります。
ワイド馬券の控除率は22.5%。これは馬連馬券の控除率と同じです。つまり馬連馬券よりもはるかに当てやすく、しかも賭けた方の取り分は同じというのがワイド馬券ということになります。
払戻金はやや抑えめ
ワイド馬券は的中させやすいだけに、的中した場合の払戻金がやや低くなります。同じ2頭の馬を選び購入する馬連、馬単とワイド馬券の払戻金の違いを、実際のレース結果から確認しておきましょう。
★2021年6月27日 阪神11R 宝塚記念(GⅠ)
馬券の種類 | 的中買い目 | 払戻金 | 倍率 |
馬単 | ⑦→① | 3,930円 | 39.3倍 |
馬連 | ①-⑦ | 2,780円 | 27.8倍 |
ワイド | ①-⑦ ②-⑦ ①-② |
920円 200円 1,170円 |
9.2倍 2.0倍 11.7倍 |
1番人気が勝ち、7番人気が2着、3着に2番人気が入った2021年の宝塚記念。その配当が上記の通りです。上位2頭を順番通り的中させる馬単がもっとも高く、ワイドがもっとも低いことが分かります。
このように1レースでの払い戻しは大きくなりにくいものの、的中させやすいという特徴があるのも忘れてはいけません。
初心者にワイドをおすすめする理由
的中しても払い戻しがさほど大きくないワイド馬券。せっかく馬券を購入するのであれば、一発大儲けを狙いたいという初心者の方にはあまり魅力的に映らないかもしれません。
しかしそれを分かったうえで、初心者の方にワイド馬券をおすすめする理由があります。その理由をいくつかご紹介しましょう。
なんといっても当てやすい
ワイド馬券をおすすめする最大の理由は、なんといっても当てやすいの一言につきます。初心者の方にまず味わっていただきたいのは、馬券が的中する楽しさです。確かに配当の高い大穴馬券を的中させた方が喜びは大きくなりますが、大穴馬券はそう簡単に当たりません。
まずは確実に当てやすい馬券を購入し、レースを予想し、的中させるという競馬最大の楽しさを味わっていきましょう。こうした楽しさを何度も経験することで、より競馬を好きになるはずです。
「負けない」馬券術を身に着ける
ワイド馬券は当てやすいという特徴と同時に、配当が低いという特徴があります。配当が低いということは、その低い配当でも儲けるように考えて賭け方を工夫する必要があります。
例えば上で紹介した宝塚記念の結果で考えてみましょう。1番人気と2番人気のワイドの組み合わせで配当は200円。1&2&3番人気の3頭のワイドボックス馬券を、1,000円ずつ(合計3点)購入したと考えると、ワイド馬券は的中しますが、払い戻しは2,000円でトリガミということになります。
トリガミとは、購入金額よりも払戻金額が少なく、馬券が的中したのに損をする現象のこと。これでは馬券を的中しても「負け」ということになります。
このトリガミが発生しないように、オッズを見ながら購入金額を検討する必要があります。この検討力を身に着けることができるのが大きなメリットです。
例えば以下のようなオッズのレースがあったとします。
・1番人気と2番人気のワイドオッズ 2.0倍
・1番人気と3番人気のワイドオッズ 4.0倍
・2番人気と3番人気のワイドオッズ 6.0倍
この場合予算を1/3ずつ均等に賭けても、1&2番人気の組み合わせのみ的中というケースではトリガミになります。
しかし上から順に50%、30%、20%の配分で購入すると、どれか1つが的中すれば、少なくともマイナスにはなりません。同じ金額を賭けるにも、配分を変えてトリガミを回避するという工夫を覚え、負けない馬券術を身につけましょう。
三連複や三連単の予想に生かせる
馬券の予想には2パターンの予想があります。ひとつは「勝つ馬を予想する」パターン、もうひとつが「上位に来る馬を予想する」パターンです。
勝ち馬を予想する形で予想するのが単勝、馬単、馬連といった馬券です。上位に来る馬を予想するのが複勝、ワイド、三連複、三連単です。その違いを解説しておきましょう。
馬連や馬単を予想する場合の思考回路は、「この馬が勝つ展開だと2着はこの馬」、「勝つとすればこの馬かその馬」といったもの。基本的に勝つ馬を予想し、その中で2着馬を予想します。この時3着に入る馬に意識はいきません。あくまでも1着馬を予想し、その場合2着に入る可能性がある馬を追加する考え方です。
馬連や馬単では3着馬を予想することが難しく、同じ思考回路で三連複や三連単を予想するのは難しくなります。
一方上位に来そうな馬を予想するとなると、必然的に3着までに入りそうな馬を予想するということになります。ワイドの場合この考え方で予想することになるでしょう。この考え方はやがて三連複や三連単の予想でも生かせるということになります。
初心者として最初はワイドを買っていても、将来的には三連単で大穴馬券を狙えるようになりたいというのが多くの方の思いでしょう。その思いを叶えるのであれば、上位に来る馬を予想し、そのうえで的中率が高い馬券がワイド馬券となります。
ワイドで負ける理由
ここまで初心者の方にワイド馬券を推奨してきましたが、ワイド馬券は的中しやすくとも必勝の馬券ではありません。当然負けることもあり、初心者の方はまずこの負ける理由をできるだけ減らすことが重要になります。
では、ワイドで負ける理由をいくつかご紹介しておきましょう。
もっとも多いのはトリガミ
ワイドで負ける最大の理由は、やはりトリガミでしょう。的中してもプラス収支にならないようでは当然負けということになります。
トリガミを防ぐには、きっちりオッズを見ながら購入する、購入する点数を絞り込むといった方法が効果的。当たってもマイナスにならないように、賭け金、購入点数を工夫するようにしましょう。
無理な穴狙いをする
ワイドは配当が低い馬券です。そのためワイドでも少しでも大きく勝ちたいと、つい穴狙いをしてしまう方も少なくありません。もちろん穴狙いがまったく有効ではないという意味ではありません。無理な穴狙いは推奨できないという意味です。
そもそもなぜワイドを購入しているかというと、的中率を上げるためです。まずは的中することを初心者の方に知っていただきたいがためにおすすめしているのがワイド馬券です。的中率を犠牲にして穴狙いをするのは本末転倒ですので、その点は十分考えて予想をしましょう。
おすすめの買い方はワイドボックス
初心者の方におすすめする馬券の種類はワイド馬券です。そしておすすめの購入方法がボックス買いです。
ボックス買いとは、選んだ馬の全ての組み合わせを購入する方法。仮に購入する馬が①番、②番、③番の3頭の場合、購入する買い目は①-②、①-③、②-③の3点。選んだ頭数による購入点数は以下の通りです。
購入頭数 | 4頭 | 5頭 | 6頭 | 7頭 | 8頭 |
購入点数 | 6点 | 10点 | 15点 | 21点 | 28点 |
ワイド馬券と考えると7頭以上はトリガミの可能性が跳ね上がります。できれば3~4頭まで絞り込むのがおすすめです。
タテ目を避ける
ボックス買いを推奨する大きな理由は、「タテ目を避ける」というもの。タテ目とは、狙っていた馬が来ているのに、購入していない馬で決まってしまい外れることを指します。
例えば①番、②番、③番、④番の4頭を狙う場合、ボックスではなく①番軸の流しで購入したとします。このレースで1~3着が②番、③番、④番だった場合、予想はほぼ当たっているのに馬券は当たっていないということになります。これがタテ目です。
タテ目を防ぐ方法はボックス買い。上記の例でも①~④番までのボックス買いをしていれば、6点で3点的中ということになります。
複数的中で回収率アップ
ボックス買いをすることで、3点的中を狙えるのも大きなポイントです。上に戻って2021年の宝塚記念の払戻金額を確認してみましょう。ワイド1点的中では大きな配当ではありませんが、3点すべて的中していたらどうでしょう?合計の払戻金額は2,270円となり、馬連に近い配当を手にすることができます。
3点同時的中が可能になるのはボックス買いの時のみ。その点でもボックス買い推奨となります。
買い目を抑える工夫を覚える
ボックス買いのデメリットは、購入点数が増えることです。例えば軸1頭、相手5頭の流し馬券なら購入点数は5点ですが、6頭ボックスとなると購入点数は15点と一気に増えてしまいます。
1点の配当が低いワイド馬券において、買い目が増えるのは推奨できません。ボックス買いで買い目を抑えるのであれば、買う頭数を減らすしかありません。
馬券検討において、どれだけベテランになっても難しいのが狙い馬を減らす作業。その作業を初心者のうちから覚えておけば、将来的に役立つことは間違いありません。
まとめ
競馬初心者に必要なことは、馬券が的中し、払い戻しを受ける楽しさを知ることです。もちろん自分で予想をして、的中させることができればなお楽しさを感じることができるでしょう。
自分で予想をして的中させるには、的中させやすいワイド馬券がおすすめです。ワイド馬券の検討をすることで、不要な馬を消す予想や、3着に来そうな馬を見つける目を養うことができます。
ここで養われた目は、将来的に三連複や三連単の予想をするときにも役立つため、将来のことを考えてもワイド馬券購入が一番おすすめとなります。